目次
・位牌分けは宗派によってできることがある
・位牌分けは中部や北関東の一部での慣習だった
・位牌分けした位牌を他家にもちこむことに問題ないか、確認が必要
・位牌分けのメリットは心のよりどころとして身近に持てること
・位牌分けには、仏壇の用意も必要
・位牌分けの手順
・位牌分けにかかる費用は
・まとめ
葬儀では、故人の位牌は白木の位牌を用います。
しかし、四十九日の法要では、その白木の位牌から、本位牌に変えるのが通例です。
その際、地域や宗派によるのですが、この本位牌を複数作ることがあるのです。
お墓に納骨する遺骨を分骨するのに似た慣習で、これを「位牌分け」と言います。
この記事では、「位牌分け」に焦点を当てて紹介していきます。
位牌分けは宗派によってできることがある
位牌は1基だけ用意し、喪主の家にある仏壇に祀られることが一般的ですが、例えば故人の子供たちの人数分の位牌を作ることもできるのです。
こうすれば、各自で位牌を持ち帰り、それぞれの家庭の仏壇に祀ることができますね。
このように複数位牌を作ることを位牌分けと言いますが、可能かどうかは宗派によります。
菩提寺や親族に確認しておくことをおすすめします。
位牌分けは中部や北関東の一部での慣習だった
この位牌分けは、主に長野県、山梨県、群馬県、静岡県などの一部や北関東の一部で行われていた慣習で、故人の子であれば、長男や長女でなくとも、子どもたちの人数分、位牌が渡されていました。
ところによっては、親族全員に渡している地域も。
由来はそれぞれ異なっており、例えば水害の多い地域では、その水害で家屋や家財などとともに位牌が流されて紛失しまった場合に備え、予め複数用意してそれぞれの家庭においていた、などがあるようです。
現在では、核家族が進み、また仕事の関係で親族それぞれがバラバラな地域で暮らしている、というケースが少なくありません。
そのため、本家が遠く、故人の墓参りなどが大変な場合や、分家であっても親の供養を行いたい場合、そして心の支えとして故人の位牌を持っていたい、などの理由で位牌分けを行うことも一般的になってきています。
位牌分けした位牌を他家にもちこむことに問題ないか、確認が必要
宗派や地域によっては、位牌分けの習慣がないところもあります。
お嫁入先や婿養子先に位牌を持ち込みたい場合は、トラブルになることもありますので、事前に親族に確認するようにしましょう。
なお、位牌分けは基本的にはいくつに分けても問題はないとされていますが、未婚者には資格がないとするなど、細かい決まりがる場合もあります。
トラブルを避けるためにも、菩提寺や親族に相談してから行うことをおすすめします。
また、浄土真宗では通常、位牌は必要としないため、位牌分けも行いません。
位牌分けのメリットは心のよりどころとして身近に持てること
核家族化が進み、転勤などで地域を離れることも少なくない現在では、地域の慣習に関係なく位牌分けを行う家庭が増えてきました。
位牌分けの一番のメリットは、各自が位牌を手にすることで、年に数回の帰省以外でも、故人を身近に感じることができることでしょう。
位牌分けには、仏壇の用意も必要
位牌分けするということは、責任をもって供養をすることを約束したようなものです。
位牌をおお祭りする仏壇や仏具の準備も必要になります。
タンスなどの上に単体で置いておくだけ、というのでは失礼に当たりますので注意しましょう。
多くは四十九日の法要のタイミングで位牌分けが行われます。
もちろん、四十九日後に位牌分けを行っても問題ありませんが、いずれにしても、その時までに仏壇や仏具の準備が間に合わない場合は、位牌は一時的に専門業者やお寺にあずかっていただくようにしましょう。
位牌分けの手順
位牌分けはおおよそこのような手順で行われています。
1.位牌を人数分用意します。
2.白木位牌の閉眼供養とお焚上げ、本位牌の開眼供養を菩提寺など寺院に依頼します。
3.開眼供養が完了した位牌を持ち帰り、各自宅の仏壇にお祀りします。
位牌分けにかかる費用は
最後に費用について見てみましょう。
位牌本体の費用の他、戒名入れや開眼供養で費用が発生します。
・位牌代金:1万円くらいから 材質や大きさにより、価格が変わります。
・戒名入れ:1万円くらいから ただし文字数などにより、金額が変わることがあります。
・開眼供養:1~3万円ほど
・お車代:5千~1万円ほど 開眼供養を寺院外で行う場合に必要となります。
まとめ
位牌は故人一人に対して1つだけ作られるイメージを持つ方が多いかと思われますが、故人の子供の人数分位牌を作ることがありました。
一部の地域のみで行っていたこの慣習も、核家族化が進んだ現在では一般的になってきており、位牌を各自でお祀りすることで、故人を身近に感じたいという方は増えてきています。
しかし、宗派や地域によっては、位牌分けした位牌を持ち込むことを良しとしないところもありますので、事前に確認しておく必要があります。
また、位牌分けする場合は、安置する仏壇などの用意も必要となるので準備しておくようにしましょう。
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